令和3年7月の1陸技の試験2回目の無線工学AのA-21~25の問題について解説します。
R.3.12 無線工学 A-21
アンテナの平衡-不平衡変換回路に関する問題です。
半波長ダイポールアンテナは平衡アンテナですが、同軸ケーブルは不平衡です。
平衡アンテナは入力の2端子が等価なアンテナで、ダイポールアンテナやループアンテナなどがあります。
一方、不平衡アンテナは入力の2端子が等価でないアンテナで、グランドプレーンアンテナや垂直接地アンテナなどがあります。
同軸ケーブルは芯線の周りに外部導体がある構造なので不平衡な給電線と言えます。
ダイポールアンテナに同軸ケーブルを接続する時は平衡-不平衡変換回路が必要となります。
A
給電線とアンテナに平衡・不平衡の不一致があると平衡なアンテナを介して外部導体に電流が流れようとするので、外部導体に漏洩電流が流れます。
ちなみにもう一つの選択肢の渦電流は変化する磁界中に置かれた導体を流れる渦上の電流のことです。
そのため、Aには「漏洩電流」が入ります。
B
回路図から2つのコイルの両端にVの電圧がかかっているので各コイルにはV/2の電圧が生じます。
そのため、Bには「V/2」が入ります。
C
3本の電線をねじるのでトリファイラ巻と呼ばれる巻き方です。
そのためCには「トリファイラ」が入ります。
以上から答えは1です。
R.3.12 無線工学 A-22
電離層に関する問題です。
この問題は明らかに誤った選択肢があります。
誤った選択肢は2です。
F層は季節や時間によって高さが変化するのでこの選択肢は間違いです。
F層は地表から200km付近のF1層と地表から300~400km付近のF2層に分かれます。
冬季にはこれらの層の区別がなくなります。
また、夜間は地表から300km付近で1つのF層になります。
R.3.12 無線工学 A-23
短波(HF)帯の電波伝搬に関する問題です。
HFの電波は電離層で反射して伝搬します。
A
短波の電波は大円通路を伝搬します。
対流圏は成層圏と地表の間の大気層です。
問題では電離層反射による伝搬を考えているのでAに対流圏は入りません。
そのため、Aには「大円通路」が入ります。
B
第一種減衰はD層やE層を電波が通過するときに発生する減衰で、第二種減衰はF層で電波が反射するときに発生する減衰です。
第一種減衰は電子密度が大きいほど大きくなるので、昼間に大きくなる減衰は第一種減衰です。
そのため、Bには「第一種」が入ります。
C
SとLの経路差によってエコーが発生します。
ドプラ効果は送信点や受信点が移動していないと発生しないのでこの空欄には不適切です。
そのため、Cには「エコー」が入ります。
以上から答えは1です。
R.3.12 無線工学 A-24
電気計器の仕組みに関する問題です。
A
熱電対形は熱電対に生じる起電力で可動コイル形計器を動かします。
そのため、Aには「永久磁石可動コイル形」が入ります。
B
熱電対形計器は直接実効値を測定できます。
そのため、Bには「実効値」が入ります。
C
熱電対形計器は測定する電流を熱に変換して熱電対でその温度変化を測定する仕組みの計器です。
エネルギーは電流の2乗に比例するので2乗目盛りです。
そのため、Cには「2乗」が入ります。
以上から、答えは2です。
R.3.12 無線工学 A-25
リサジュー図に関する問題です。
図と周波数比が正しいものを選ぶ問題なので、それぞれのリサジュー図に対応する周波数比と位相差の組み合わせを示します。。
- $f_x:f_y=1:1$ 位相差:$\pi /2$
- $f_x:f_y=1:1$ 位相差:$3\pi /4$
- $f_x:f_y=2:3$ 位相差:$3\pi /4$
- $f_x:f_y=1:2$ 位相差:$3\pi /4$
- $f_x:f_y=1:3$ 位相差:$\pi /2$
正しい組み合わせになっているのは3です。
まとめ
最近、難化傾向と言われる1アマの問題を解いてみました。
1陸技と比べると基本的な問題が出ますが、たしかに私が受けた10年前より難しくなっている気もします。
そろそろアマチュア無線家としても復活していきたいところです。
あと2週間くらいで1陸技の試験もありますので受ける方は頑張ってください。
私もそろそろ1総通の勉強を始めようと思います。
参考文献
電磁気学をちゃんと学びたい人向け
上の難易度が高い人
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