本ページはプロモーションが含まれています

【過去問解説】令和3年7月の1陸技試験問題を解いてみた(R3.7 2回目 無線工学B A-16~A-20)

令和3年7月の1陸技の試験2回目の無線工学BのA-16~20の問題について解説します。

スポンサーリンク

R.3.7 無線工学B(2回目) A-16

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R3年7月2回目 無線工学B A-16

直接波と大地反射波による電波の伝搬の問題です。

送信アンテナからの直接波と大地で反射した大地反射波が受信点で合成されます。

反射波の直接波に対する位相差を$\phi$、直接波の電界強度を$E_0$、反射波の電界強度を$E_r$とします。 大地の反射係数が-1なので$E_0=E_r$とみなせます。

受信点の電界強度$E$は$E=E_0|1-\exp (j\phi)|=2E_0|\sin (\phi)|$です。

次に位相差を求めましょう。

直接波と大地反射波の経路差は送信アンテナの地上高を$h_t$、受信店の地上高を$h_r$とすると

\[ \sqrt{d^2+(h_t+h_r)^2}-\sqrt{d^2+(h_t^2-h_r)^2}=\frac{2h_th_r}{d} \]

となります。

そのため、位相差$\phi$は$\phi=\frac{4\pi h_t h_r}{\lambda d}$です。

$\frac{4\pi h_t h_r}{\lambda d} << 1$なので$E=2E_0 \frac{2\pi h_t h_r}{\lambda d}$と表せます。

最後に$E$を計算しましょう。

半波長ダイポールアンテナから距離d離れた点での電界強度は$E=\frac{7\sqrt{P}}{d}$です。

送信アンテナの相対利得は6dB=4倍なので、$P$を4倍すれば問題ありません。

そのため、$E_0=\frac{7\sqrt{4P}}{d}$となります。

問題の数値を代入すると$E=2\frac{7\sqrt{4P}}{d}\frac{2\pi h_th_r}{\lambda d}=1.4[\rm{mV/m}]$です。

そのため、答えは5です。

R.3.7 無線工学B(2回目) A-17

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R3年7月2回目 無線工学B A-17

電離層シンチレーションに関する問題です。

A

電離層シンチレーションでは電離層の不規則な揺らぎによって発生します。 このゆらぎは短周期なのでAには短周期が入ります。

B

赤道付近と高緯度地域の電離層フェージングが大きく、中緯度地域では比較的小さい傾向にあります。 そのためBには緯度が入ります。

C

円偏波の電波に対して偏波が回転しても影響はありません。 そのため直線偏波が強く影響を受けます。

以上から答えは1です。。

R.3.7 無線工学B(2回目) A-18

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R3年7月2回目 無線工学B A-18

模型を使ったアンテナ測定に関する問題です。

明らかに誤った選択肢があるのでそれについて解説します。

誤った選択肢は4です。 測定周波数は$f_m=f/p$になります。

模型の大きさに対して波長を実際に使うのと同じ縮尺に合わせる必要があります。 そのため縮尺率$p$倍の模型に対して、波長も$p$倍にする必要があります。 波長を$p$倍にするためには周波数を$1/p$倍にすることになります。

R.3.7 無線工学B(2回目) A-19

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R3年7月2回目 無線工学B A-19

マイクロ波標準アンテナの校正法に関する問題です。 内容的にはアンテナの利得測定に関するものです。

A

反射板を使った校正法です。

反射板の反対側の鏡像アンテナは反射板の反対側に見えるので、アンテナ間の距離は$2d$になります。 フリスの伝搬公式から \[ P_r=\frac{G_0}{4\pi (2d)^2}P_t \frac{\lambda ^2}{4\pi}G_0 \\ \] となるので、 \[ G_0^2=\frac{(4\pi)^2(2d)^2}{\lambda ^2}\frac{P_r}{P_t} \] です。

以上から$G_0=\frac{8\pi d}{\lambda}\sqrt{\frac{P_r}{P_t}}$となります。

B

Aの$2d$を$d$に置き換えるだけです。 そのため、$G_0=\frac{4\pi d}{\lambda}\sqrt{\frac{P_r}{P_t}}$となります。

C

$G_X$を求めたいので、①と③式を$G_Y,G_Z$についてそれぞれ解いて$G_X$の式で表します。 \[ G_Y=\frac{1}{G_X}\left( \frac{4\pi d}{\lambda}\right)^2\frac{P_{rY}}{P_{tX}} \\ G_Z=\frac{1}{G_X}\left( \frac{4\pi d}{\lambda}\right)^2\frac{P_{rX}}{P_{tZ}} \]

この式を②式に代入して$G_X$について解くと \[ G_X=\frac{\lambda}{4\pi d}\sqrt{\frac{P_{rY}}{P_{tX}}\frac{P_{tY}}{P_{rZ}}\frac{P_{rX}}{P_{tZ}}} \] となります。

以上から答えは2です。

R.3.7 無線工学B(2回目) A-20

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R3年7月2回目 無線工学B A-20

アンテナ測定に関する問題です。

A

アンテナの可逆性により、利得や指向性は送受信どちらの用途で使用しても変化はありません。 そのため、Aには可逆性が入ります。

B

送信アンテナ付近では球面波の形で電波が伝搬し、距離が離れるほど平面波に近づいていきます。 球面波となる領域ではアンテナの大きさなどの影響で誤差が発生しやすくなるので受信アンテナ近傍で平面波になる距離で測定します。

そのため、Bには平面波が入ります。

C

本来なら電波暗室で測定しますが、屋外で測定する場合は周りに影響を与えるものがないオープンサイトで測定します。

そのため、Cにはオープンサイトが入ります。

以上から答えは3です。

まとめ

今回は先日行われた令和3年7月2回目の1陸技の無線工学BのA-16~20を解いてみました。 過去問が多く出題される1陸技の試験ですが、ここ最近は1回の試験で2回分の過去問が出るので過去問もはかどりますね。 次の試験を目指すならこの時期からであれば次の試験まで十分に時間が取れます。 1陸技を目指す方は頑張っていきましょう。

勉強法 第一級陸上無線技術士の勉強法とおすすめ参考書

参考文献

電磁気学をちゃんと学びたい人向け

上の難易度が高い人

コメント

タイトルとURLをコピーしました