令和5年1月の1陸技の試験1回目の無線工学AのA-16~20の問題について解説します。
R.5.1 無線工学A(1回目) A-16
雑音温度に関して誤った選択肢を選ぶ問題です。
誤った選択肢は3です。
出力端の全雑音電力は \[ N_O=k(T_O+T_e)Bg \] で表されます。
3に記載された式は$T_e$の符号が違います。
以上から答えは3です。
R.5.1 無線工学A(1回目) A-17
FM送信機の占有周波数帯域幅の測定方法に関する問題です。
この問題は令和4年1月1回目A-17で全く同じ問題が出題されています。
下記の記事をご参照ください。
答えは2です。
R.5.1 無線工学A(1回目) A-18
オシロスコープのプローブの周波数特性補正に関する問題です。
この問題は令和4年1月2回目B-4で類似問題が出題されています。
内容的にはほぼ同じですが、今回は具体的な数値が与えられ、計算する問題となっています。 計算式の導出は下記の記事をご参照ください。
A
(1)では方形波入力時に正しく方形波が出力される可変コンデンサ$C_T$の容量を計算しています。
上記の記事を参照して計算してみると \[ C_T=\frac{C+C_i}{R}R_i=10^{-11}\rm{[F]}=10\rm{[pF]} \] となります。
B
$e_O$についても上記記事の式から \[ e_O=\frac{1}{1+\frac{C+C_i}{C_T}}e_i \] です。
この時$C_T$が大きくなると$e_O$が大きくなります。 高域の成分は$C_T$を通るので、$C_T$が大きいほど高周波成分の電圧が大きくなるはずです。
そのため、図3でいうと②の周波数特性になります。
以上から答えは2です。
R.5.1 無線工学A(1回目) A-19
受信機の受信感度測定に関する問題です。
同様の内容で、数値だけが異なる問題が令和3年7月2回目A-20で出題されています。
計算方法については下記の記事をご参照ください。
計算はこの記事の$-107$を$-97.4$に変えるだけです。 \[ -97.4+113=15.6\rm{[dB\mu V]} \\ =6+9.6=20(\log_{10}2+\log_{10}3)=20\log_{10}6 \] となるため、答えは5. $6\rm{\mu V}$です。
R.5.1 無線工学A(1回目) A-20
アナログのスペクトルアナライザの原理に関する問題です。
同様の内容で、出題形式が異なる問題が令和4年1月1回目B-2で出題されています。
正誤問題ですが、書いてある内容はに通っています。
A
この内容は上記の記事のアに相当します。
スペクトルアナライザの分解能はIFフィルタの帯域幅で決まり、この帯域幅を分解能帯域幅(RBW:Resolution Band Width)と呼びます。 帯域幅が狭いほど周波数分解能が高くなり、その分、掃引時間が長くなります。
そのため、Aには「IF」が入ります。
B
この内容は上記の記事のウに相当します。
RBWを狭くして分解能を高くするほど掃引時間は長くなります。 一般に分解能と掃引時間はトレードオフの関係にあります。
そのため、Bは「長く」が入ります。。
C
この内容は上記の記事のイに相当します。
RBWが狭いほど測定する帯域が狭いので熱雑音が小さくなります。
そのため、Cは「低く」が入ります。。
D
この内容は上記の記事のエに相当します。
ビデオフィルタは低域フィルタ(LPF)です。
そのため、Dには「低域フィルタ(LPF)」が入ります。
以上から答えは2です。
まとめ
今回は令和5年1月の無線工学A(1回目)の試験A-16~A-20の問題について解説しました。 無線工学AのA問題の終盤は測定器や測定方法の原理に関する問題が多く出題されます。 このような問題は日ごろから測定器を使っている人はより理解が深まり、そうでない人も知っていると使いやすい知識です。 資格試験と割り切らず理解しておくと今後にも役立つのでしっかり対策しておきましょう。
もうすぐ試験の申し込みが始まるので7月の試験を受験される方は忘れずに申し込みましょう。
参考文献
電磁気学をちゃんと学びたい人向け
上の難易度が高い人
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