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【過去問解説】令和4年7月の1陸技試験問題を解いてみた(R4.7 1回目 無線工学B A-16~A-20)

1陸技

令和4年7月の1陸技の試験1回目の無線工学BのA-16~20の問題について解説します。

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R.4.7 無線工学B(1回目) A-16

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学B A-16

衛星での受信電力から送信アンテナの利得を計算する問題です。
設定はさておき、内容的にはフリスの伝達公式を使った計算問題です。

受信電力を$P_r$、受信アンテナの利得を$G_r$、送信電力を$P_t$、送信アンテナの利得を$G_t$、伝搬距離を$d$とすると、フリスの伝達公式は次のように表せます。
\[
P_r=G_tG_rP_t\left( \frac{\lambda}{4\pi d} \right)^2
\]

これをデシベル表記に直せば
\[
P_R=G_R+G_T+P_T+20\log \frac{\lambda}{4\pi d}
\]
となります。
ここではデシベル表記の各物理量は添え字を大文字としています。

これを$G_T$について解くと
\[
G_T=P_R-P_T-G_R-20\log \frac{\lambda}{4\pi d} \\
=-84-35-20-20\log\frac{3\times 10^{-2}}{4\pi \times 3.6 \times 10^7} \\
\simeq -84-35-20-20\log \frac{1}{2^4 \times 3 \pi}\times 10^{-8} \\
\simeq -84-35-20-20(-8 -4\log 2 -2 \log 3) \\
=-65
\]
となります。
最後の近似は$\pi \simeq 3$としました。

以上から答えは2です。

R.4.7 無線工学B(1回目) A-17

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学B A-17

デリンジャ現象(SID)に関して誤った選択肢を選ぶ問題です。

誤った選択肢は4です。

VLFはD層で反射されます。
D層の電子密度が増加するので、実効反射高度が低下するのは正しいですが、そのあとの内容が間違っています。

実効反射高度が下がると、送受信点間の電波の伝搬距離は短くなるので位相進みと受信電界強度は増加するはずです。

そのため、答えは4です。

R.4.7 無線工学B(1回目) A-18

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学B A-18

開口直径$D$のパラボラアンテナの利得$G$は$G=\eta \left(\frac{\pi D}{\lambda}\right)^2$と表せます。

使うのは$D^2$なので、$D^2$について解くと
\[
D^2=\frac{\lambda ^2}{\pi ^2\eta}G
\]
となります。

これを与えられた$R_{\rm{min}}$の式に代入しましょう。
ここで問題文から$\eta =0.6$、$G=4\times 10^4$、$\lambda =1.5 \times 10^{-2}$です。
\[
R_{\rm{min}}=\frac{2}{\lambda}\frac{\lambda ^2}{\pi ^2\eta}G \\
=\frac{2\lambda G}{\pi^2\eta} \\
\simeq 200
\]
最後の近似では$\pi ^2\simeq 10$とするとちょうど200となります。

以上から答えは5です。

R.4.7 無線工学B(1回目) A-19

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学B A-19

ハイトパターンの測定関する問題です。

A

Cで求めますが、ハイトパターンの周期$\Delta h$は波長に比例するので波長が長いほど周期は長く、短いほど周期が短くなります。

そのため、周波数が低いほどハイトパターンの周期は長くなります。

Aには「長く」が入ります。

B

ハイトパターンは直接波と大地反射波の干渉によって発生します。
直接波と大地反射波の経路長は次の通りです。
直接波
\[
l_D=\sqrt{d^2+(h_1-h_2)^2} \simeq d+d\left\{ 1+\frac{(h_1-h_2)^2}{2d^2}\right\}
\]
大地反射波
\[
l_R=\sqrt{d^2+(h_1-h_2)^2} \simeq d+d\left\{ 1+\frac{(h_1+h_2)^2}{2d^2}\right\}
\]

この結果から$\Delta l$を求めると
\[
\Delta l=\frac{(h_1+h_2)^2}{2d}-\frac{(h_1-h_2)^2}{2d}=\frac{2h_1h_2}{d}
\]
となるので、Bには「$\frac{2h_1h_2}{d}$」が入ります。

C

干渉する波が強めあうとき経路差$\Delta l$は$n$を整数として$(n+\frac{1}{2})\lambda$となります。

\[
\Delta l= (n+\frac{1}{2})\lambda
\]
なので、これを$h_2$について解くと
\[
h_2=\frac{d}{2h_1}(n+\frac{1}{2})\lambda
\]
です。

$h_{m1},h_{m2}$はそれぞれ$n=0,n=1$の時の$h_2$なので、$\Delta h=\frac{\lambda d}{2h_1}$となります。

そのため、Cには「$\frac{\lambda d}{2h_1}$」が入ります。

以上から答えは5です。

R.4.7 無線工学B(1回目) A-20

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学B A-20

模型を使ったアンテナ測定に関する問題です。

A,B

模型を使ってアンテナを測定する時、使用する周波数が変わるので、模型の縮尺率はアンテナ材料の導電率に依存します。
一方で、空間の誘電率や透磁率は室内でも自由空間でも同じなので模型の縮尺率はこれらのパラメータには依存しません。

そのため、Aには「依存するが」が入り、Bには「依存しない」が入ります。

C

模型の縮尺率を$p$とすると、波長が$p$倍になります。
周波数は波長に反比例するので、測定周波数は
\[
f_m=f/p
\]
となります。

そのため、Cには「$f/p$」が入ります。

以上から答えは2です。

まとめ

デシベルを真数に戻したり、しっかり計算すると計算が面倒くさかったりする問題が多く出題されていました。
うまく式変形をすることで、うっかりミスをなくせるので、時間が限られる中、しっかり計算過程を残して問題を解くとよいでしょう。

勉強法

第一級陸上無線技術士の勉強法とおすすめ参考書

参考文献

電磁気学をちゃんと学びたい人向け

上の難易度が高い人

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