令和4年7月の1陸技の試験、無線工学AのA-11~15の問題について解説します。
R.4.7 無線工学A(1回目) A-11
高精度GPS測位等に関する問題です。
A
GPSの測距信号では1.1~1.2GHz帯(L2,L5)と1.5GHz帯のL1が使用されます。
そのため、Aには「1.5」が入ります。
B
GPSの測距では一般に拡散コード位相を使います。
そのため、Bには「拡散コード」が入ります。
C
(3)の一般に以降の内容に当てはまる形式を選びます。
利用可能エリアがの制約が少なく時間がかかる方式はRTKとPPP方式のうちPPP方式の方です。
覚えていなかったとしても
・基準局を使って補正するOSR方式→RTK
・誤差要因から補正するSSR方式→PPP
と読み取れます。
OSR方式は基準局を使うので利用可能エリアに制約が出るはずなので、ここからPPP方式と考えることもできます。
そのため、Cには「PPP」が入ります。
以上から答えは4です。
R.4.7 無線工学A(1回目) A-12
FM-CWレーダーによる測定結果から航空機の対地高度を計算する問題です。
三角波の傾きは
\[
\frac{100 \times 10^6}{1/200}=2 \times 10^{10}[\rm{Hz/s}]
\]
です。
ここから
\[
\Delta T=\frac{\Delta f}{2 \times 10^{10}}=\frac{12}{20}\times 10^{-6} \\
=6 \times 10^{-7}
\]
となります。
航空機の対地高度$h$は
\[
h=c\Delta T/2 =3\times 10^8 \times 6 \times 10^{-7} \\
=90[\rm{m}]
\]
となります。
以上から答えは4です。
R.4.7 無線工学A(1回目) A-13
放送衛星から出力される電波のEIRPとPFDを計算する問題です。
問題のシチュエーションは衛星ですが、衛星以外にも同じ考え方が使えます。
PFDはEIRPから計算できるので先にEIRPを計算します。
計算はdBに変換してから計算するのが楽でしょう。
送信電力を$P$、アンテナ利得を$G$、給電およびポインティング損失の合計を$L$とするとEIRPは次のようになります。
\[
EIRP=P+G-L=10\log_{10}(120\times 10^3) +41-2.5 \\
=50.8+41-2.5=89.3[\rm{dBm}]
\]
次にPFDを計算します。
\[
PFD=EIRP-10\log_{10}(4\pi d^2) \\
=89.3-10\{0.6+0.5+3.16+12\} \\
=89.3-162.6=-73.3[\rm{dBm}]
\]
以上の計算から答えは2です。
R.4.7 無線工学A(1回目) A-14
衛星地球局の特に設備に関する問題です。
A
クライストロンでは空洞共振器を使うのでその共振器に引っ張られて帯域は狭くなります。
TWTでは空洞共振器を使用しないので、クライストロンと比べて帯域は広くなります。
そのため、Aには「広い」が入ります。
B
地上の方がノイズ源が多いので、アンテナを天空に向けた時の方が、地上に向けた時より等価雑音温度が低くなります。
そのため、Bには「低く」が入ります。
C
良好な周波数変換を行うには局部発振器が安定している必要があります。
そのため、Cには「周波数安定度」が入ります。
以上から答えは1です。
R.4.7 無線工学A(1回目) A-15
前方誤り訂正方式の基本的な原理に関する問題です。
A
与えられている$F(x)=x+1$に$x^3$を×だけなので、Aに入るのは「$x^4+x^3$」です。
B
$F(x)$を生成多項式$G(x)$で割ると次のような形になります。
\[
F(x)=(x+1)G(x)+x^2+1
\]
係数は0または1しか取れないので、この計算で使用するのは普通の足し算や引き算ではなくXORであることに注意しましょう。
つまり、$1+1=0$となります。
この結果からBには「$x^2+1$」が入ります。
C
ハミング符号では1ビットの誤り訂正が可能です。
そのため、Cには「1」が入ります。
以上から答えは4です。
まとめ
今回は令和4年7月無線工学Aの1回目のA-11~A-15について解説しました。
1陸技ではdBを使った方が簡単に計算できる問題も多く出題されます。
対数の計算が面倒くさそうに思う人も多いかもしれませんが、慣れるととても使いやすい表記です。
積極的に使って計算して慣れていきましょう。
参考文献
電磁気学をちゃんと学びたい人向け
上の難易度が高い人
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