令和7年7月の一陸技の試験の無線工学BのA-16~20の問題について解説します。
R.7.7 無線工学B A-16

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R7年7月 無線工学B A-16
奥村-秦式の伝搬損の推定法に関する問題です。
奥村-秦式に関する問題は過去に出ていなかったと思います。
奥村-秦式に関しては下記のIEICEのサイトが参考になります。 おそらくこの問題はここの内容をベースに作られているものと思われます。
A
使用されるパラメータとして下記があげられます。
- $f$:周波数[MHz]
- $h_b$:基地局アンテナ高[m]
- $d$:送受信間距離[km]
- $h_m$:移動局アンテナ高[m]
そのため、Aには「移動局アンテナ高」が入ります。
B
IEICEのサイトで出てくる下記の伝搬損の式において伝搬距離に依存する項は \[ (44.9-6.55\log h_b)\log d \] のみです。
基地局アンテナがおおむね100[m]くらいとすると$\log d$の係数が$31.8$となります。 すると上記の項は \[ 10\log d^{3.18} \] となるのでBには「3~3.5」が入ります。
C
準平滑地形とは地形の起伏高がおおむね20m以下の平坦の地形を差します。
そのため、Cには「20」が入ります。
D
開放地の目安としては前方300~400m以内が開けている地形を差します。
そのため、Dには「300~400」が入ります。
R.7.7 無線工学B A-17

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R7年7月 無線工学B A-17
衛星での受信電力から送信アンテナの利得を計算する問題です。
この問題は同様の問題が令和4年7月1回目A-16で出題されています。
解き方については下記の記事をご参照ください。
令和4年7月1回目A-16

フリスの公式から計算すると \[ G_T=P_R-P_T-G_R-20\log \frac{\lambda}{4\pi d} \\ =-90-25-30-20\log\frac{3\times 10^{-2}}{4\pi \times 3.6 \times 10^7} \\ = -145-20\log \frac{1}{2^4 \times 3 \pi}\times 10^{-8} \\ = -145-20(-8 -4\log 2 -\log \pi \log 3) \\ =59 \simeq 60 \] で1です。
R.7.7 無線工学B A-18

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R7年7月 無線工学B A-18
マイクロ波アンテナの利得測定をするときの平面大地の反射波等の影響に対する対策に関する問題です。
この問題は全く同じ問題が令和5年7月1回目A-20で出題されています。
令和5年7月1回目A-20

答えは
- A:凹凸
- B:高い
- C:反射係数
で4です。
R.7.7 無線工学B A-19

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R7年7月 無線工学B A-19
電波吸収体に関して誤った選択肢を選ぶ問題です。
この問題は類似問題が令和5年7月1回目B-5で出題されています。
下記の記事をご参照ください。

誤った選択肢は2です。
垂直方向の吸収特性がよかったとしても、あらゆる方向が良好な吸収特性がよいとは限りません。
そのため、答えは2です。
R.7.7 無線工学B A-20

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R7年7月 無線工学B A-20
開口アンテナの利得測定においてアンテナの大きさに起因する誤差に関する問題です。
この問題は同様の問題が令和4年1月1回目A-20や令和5年1月2回目A-18で出題されています。
解き方については下記の記事をご参照ください。
令和4年1月1回目A-20

令和5年1月2回目A-18

答えは
- A:$\frac{(D_1+D_2)^2}{8R_1}$
- B:$\lambda/16$
- C:$\frac{2(D_1+D_2)^2}{\lambda}$
で3です。
まとめ
今回は令和7年7月の無線工学Bの試験A-16~A-20の問題について解説しました。 奥村-秦式などあまり見ない題材が出題されました。これに関しては知っていないと難しいと思います。詰まったら一度飛ばして他の問題に取り組んでもよいかもしれません。
参考文献
電磁気学をちゃんと学びたい人向け
上の難易度が高い人


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