本ページはプロモーションが含まれています

【過去問解説】令和4年1月の1陸技試験問題を解いてみた(R4.1 2回目 無線工学A B-1~B-5)

1陸技

令和4年1月の1陸技2回目の試験、無線工学AのA-16~20の問題について解説します。

スポンサーリンク

R.4.1 無線工学A(2回目) B-1

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年1月2回目 無線工学A B-1

SCPC方式の通信に関する問題です。SCPC方式自体は衛星通信以外にも使用されます。

SCPC方式はチャネル割当方式の一つで、「Single Channel Per Carrier」の略です。
文字通り、1つのチャネルに対して1つの搬送波を割り当てるので、アには6.「一つ」が入ります。

SCPC方式は1つの中継器の帯域内に複数の周波数を等間隔に並べるので、周波数分割多元接続方式に分類されます。

そのため、イには1.「周波数分割」が入ります。

要求割当方式では要求に応じた通信容量を割り当てます。
固定割当方式では小さい容量の通信でもあらかじめ割り当てられた通信回線を使用するので、通信容量の大きさに対して割り当てた回線の容量が大きすぎることも起こりえます。
この時、大きすぎる通信容量は無駄となるので、通信容量が小さい多数の地球局が中継器を共同使用するときは要求割当方式の方が利用効率が良くなります。

そのため、ウには9.「小さい」が入ります。

ボイスアクティベーションは読んで字のごとく音声で送信を起動する方式です。

そのため、エには3.「音声信号がある」が入ります。

音声信号があるときだけ中継器を利用するので、トランスポンダの利用効率を向上できるという利点があります。

そのため、オには5.「トランスポンダの利用効率を向上」が入ります。

R.4.1 無線工学A(2回目) B-2

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年1月2回目 無線工学A B-2

FMの位相偏移の測定方法に関する問題です。

FM波の搬送波の振幅は零次のベッセル関数に比例します。

そのためアは7.「搬送波」が入ります。

零次のベッセル関数はグラフ①の特性を持ちます。

そのため、イには5.「グラフ①」が入ります。

変調指数が0の時、無変調波を表します。
FMでは変調がかかると搬送波が成分がなくなるので、変調指数が零の時1となるグラフ1を選ぶのが適当でしょう。

問題文では、単一正弦波の振幅を大きくしていくと搬送波と側波帯の振幅はそれぞれ消長を繰り返すと記載されています。
これは単一正弦波の振幅を大きくしていくことで変調指数がだんだんと大きくなるためです。

搬送波と側波帯の振幅はベッセル関数に比例するので、変調指数を大きくしていくとベッセル関数が0になる点で振幅が0になります。

変調指数は最大周波数偏移に比例するので、占有周波数帯域幅は広がっていきます。

そのため、ウには2.「広がる」が入ります。

周波数偏移の測定では搬送波の振幅が0になるたびに入力信号電圧を測定します。
(3)記載の通り、振幅が0でなくても測定はできますが、ベッセル関数が0になる変調指数のほうが扱いやすいのでこのタイミングで測定します。

そのため、エには8.「零」が入ります。

変調指数の定義から
\[
f_d=m_ff_m
\]
なので、オには9.「$m_ff_m$」が入ります。

R.4.1 無線工学A(2回目) B-3

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年1月2回目 無線工学A B-3

相互変調および混変調に関する正誤問題です。

相互変調は2つ以上の強力な妨害波が入力されたときに、素子の非線形性により希望周波数や中間周波数に一致した変調積が現れることによって発生します。

混変調は希望派の他に変調された強力な妨害波が入力されると素子の非線形性により希望波が妨害波によって変調を受けて混信を生じる現象です。

いずれも受信機に強力な妨害波が入力されて素子が非線形な動作を生じるという点で似た現象と考えるのが良いでしょう。

アは相互変調の説明そのままなので正しい記述です。

そのため、答えは1です。

イも混変調の説明そのままなので正しいです。

そのため、答えは1です。

相互変調は中間周波増幅段よりも高周波増幅段や周波数変換段で発生しやすい現象です。

高周波段や周波数変換段が非線形な動作をしたときに希望波や中間周波数の変調積が発生して相互変調となります。
中間周波増幅段ではすでに相互変調が発生したあとです。

そのため、ウは誤りで答えは2です。

相互変調波による妨害への対策として、入力側に減衰器を挿入する方法は実際にあります。
相互変調波成分の強度は希望波や妨害波の強度のべき乗に比例するため、相互変調は希望波よりも大きく減衰します。
この差を使って希望波のみを取り出すという手法です。

2[dB]の減衰器を挿入した時、希望波2[dB]減衰するのに対して、3次の相互変調波は希望波の3乗の6[dB]減衰します。
ここまでは問題文の通りで、正しいですが、最後の結論が誤りです。

希望波は2[dB]減衰に対して、妨害波は6[dB]減衰なので、D/Uで見ればその差の4[dB]改善となります。
問題文では8[dB]となっているので計算が間違っています。

そのため、エは誤りで答えは2です。

3次の相互変調波成分は不要波いずれかの2倍波と他方の和または差の周波数成分となるので、$2f_1\pm f_2$または$2f_2\pm f_1$となります。
問題文に記載されているのは5次の成分です。

そのため、オは誤りで答えは2です。

R.4.1 無線工学A(2回目) B-4

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年1月2回目 無線工学A B-4

オシロスコープのプローブの周波数特性補正に関する問題です。

まず、$e_o$の波形が$e_i$に比例する条件からアに入る関係式を考えます。

この時、$e_o=ke_i$と表すことができ、$k$が実数になるように$C_T$を調整します。

$e_o$を計算すると次のようになります。
\[
e_o =\frac{\frac{R_i}{1+j\omega (C+C_i)R_i)}}{\frac{R}{1+j\omega C_TR}}+\frac{R_i}{1+j\omega (C+C_i)R_i}e_i \\
=\frac{R_i}{R_i+\frac{1+j\omega (C+C_i)R_i}{1+j\omega C_TR}R}e_i
\]
分母のRの係数が実数である必要があるので、有理化して$\rm{虚部}=0$となる条件を考えましょう。
\[
\frac{1+j\omega (C+C_i)R_i}{1+j\omega C_TR} \\
=\frac{1-j\omega C_TR+j\omega (C+C_i)R_i+\omega^2 (C+C_i)C_TR_iR}{1+\omega^2C^2_TR^2}
\]
分子の虚部がゼロになるような条件を考えると
\[
(C+C_i)R_i=C_TR
\]
となります。

これがアに入る関係式なので答えは2.「$(C+C_i)R_i=C_TR$」です。

アの条件を満たす時
\[
e_o=\frac{R_i}{R_i+R}e_i
\]
となります。

そのため、イには7.「$R_i/(R+R_i)$」が入ります。

静電容量による分圧を求めると
\[
e_o=\frac{C_T}{C_i+C+C_T}e_i \\
=\frac{1}{1+\frac{C+C_i}{C_T}}e_i
\]
となります。
$C_T$を小さくすると、分母が大きくなるので、静電容量による分圧比は小さくなります。

そのため、ウには8.「小さく」が入ります。

ウの結果から考えると$C_T$を小さくするとオシロスコープに入力される電圧は小さくなるので周波数が高い信号ほどオシロスコープに入力されにくくなります。

このことは周波数特性として高域レベルが落ちることを意味するので、エには10.「落ちる」が入ります。

高域レベルが落ちるということは方形波の立ち上がり・立ち下がりの部分が減衰するということです。
そのため、(b)のような波形になります。

以上からオには4.「(b)」が入ります。

R.4.1 無線工学A(2回目) B-5

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年1月2回目 無線工学A B-5

LTE-Advanced方式(FDD)無線アクセス方式に関する問題です。

4世代のLTEではOFDM方式が使用されます。

CDM方式も帯域が広いため、マルチパス干渉には強いので文章から考えるのではなく覚えておく必要があるでしょう。

そのため、アには9.「OFDM」が入ります。

上りリンクではSC-FDMA方式が用いられています。

下りリンクで使用されるOFDMは帯域を広くして平均電力を小さくしていますが、ピーク値はそれなりに大きくなることがあります。
この時、平均電力が小さいため、PAPRが大きくなることがあります。

上りリンクで送信する送信機にはこのおおきなPAPRをカバーできるほど余裕がないので信号が歪んでしまう可能性があります。
そこで、上りリンクで使用されるのがシングルキャリアのFDMA方式です。

そのため、イには1.「SC-FDMA」が入ります。

ウ、エ

SC-FDMA方式では1次変調の信号系列を離散フーリエ変換(DFT)処理して一度周波数領域に展開し、未割り当て帯域に0を付加します。

その後、再度逆フーリエ変換することで時間軸の信号に戻すことで送信信号を作ります。

そのため、ウには3.「離散フーリエ変換(DFT)」、エには7.「逆高速フーリエ変換(IFFT)」が入ります。

Mポイントの信号系列はサブキャリアマッピングに全て含まれているので送信信号にはすべてのサブキャリアの情報が含まれています。

そのため、オには10.「全て」が入ります。

まとめ

今回は令和4年1月2回目の1陸技の無線工学AのB-1~5を解いてみました。
これで1月の無線工学A,Bの試験を一通り解説しました。
試験まで残すところ約1ヶ月です。
本サイトも活用して最後の追い込みをがんばってください。

勉強法

第一級陸上無線技術士の勉強法とおすすめ参考書

参考文献

電磁気学をちゃんと学びたい人向け

上の難易度が高い人

コメント

タイトルとURLをコピーしました