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【資格】無線従事者のための物理学-電磁波の導出-

無線従事者をはじめとする技術関係の資格試験でいきなり覚えろと言わんばかりに公式などが出てきて困惑した経験はないでしょうか?

私は理解しないと次に進めないが次に進まないと試験日が迫ってきてフラストレーションがたまった経験があります。

今回はMaxwell方程式と電磁波について扱おうと思います

以前Maxwell方程式について解説しました。

私が合格した2015年試験までは少なくとも毎年のように無線工学Bでこの方程式を理解していれば取れるサービス問題が1問出題されています。 $$ \vec{\nabla} \cdot \vec{D}=\rho \cdots \rm{Gaussの法則(電荷)} \\ \vec{\nabla} \cdot \vec{B}=0 \cdots \rm{Gaussの法則(磁荷)}\\ \vec{\nabla} \times \vec{E}=-\frac{\partial \vec{B}}{\partial t} \cdots \rm{Faradayの法則}\\ \vec{\nabla} \times \vec{H}=\vec{i}+\frac{\partial \vec{D}}{\partial t} \cdots \rm{Ampereの法則} $$

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電磁波の導出

今回は真空中の自由空間を扱うので $$ \vec{\nabla} \cdot \vec{D}=0 \\ \vec{\nabla} \times \vec{H}=\frac{\partial \vec{D}}{\partial t} \\ \vec{D}=\epsilon_0 \vec{D}\ \epsilon_0は真空の誘電率 \\\vec{B}=\mu_0 \vec{D}\ \mu_0は真空の透磁率 $$ となります。 $$ \vec{\nabla} \cdot \vec{E}=0 \\ \vec{\nabla} \cdot \vec{H}=0\\ \vec{\nabla} \times \vec{E}=-\mu_0 \frac{\partial \vec{H}}{\partial t}\\ \vec{\nabla} \times \vec{H}=\epsilon_0\frac{\partial \vec{H}}{\partial t} $$
から波動方程式を導きます。
まずFaradayの法則の両辺に回転を取ります。
$$ \vec{\nabla} \times\vec{\nabla} \times \vec{E}=-\mu_0 \vec{\nabla} \times\frac{\partial \vec{H}}{\partial t} $$ 左辺と右辺を別々に計算します。 $$ (左辺)=\vec{\nabla}(\vec{\nabla} \cdot \vec{E})-\vec{\nabla}^2\vec{E}=-\vec{\nabla}^2\vec{E} $$
ここで\(\vec{\nabla} \times\vec{\nabla} \times \vec{A}=\vec{\nabla}(\vec{\nabla} \cdot \vec{A})-\vec{\nabla}^2\vec{A}と\vec{\nabla} \cdot \vec{E}=0\)を使いました
$$ (右辺)=-\mu_0 \frac{\partial}{\partial t} \vec{\nabla} \times\vec{H}=-\epsilon_0 \mu_0 \frac{\partial^2}{\partial t^2} \vec{E} $$
以上から\(\{\vec{\nabla}^2-\frac{1}{c^2} \frac{\partial^2}{\partial t^2}\} \vec{E}=0\)(波動方程式)が得られます。
ここで\(c=\frac{1}{\sqrt{\epsilon_0\mu_0}}\)としました。この項は波動方程式内の速度に相当するものです。
波動方程式については下記で解説しています。
無線従事者のための物理学-数学2微分方程式-
MathJax.Hub.Config({tex2jax: {inlineMath: , ]}}); 無線従事者試験は受験資格が設定されていないという性質上、いろいろな人が受験するため、無線工学の科目で出てくる数学に苦労した人も多いのではなだ...
磁場についても同様の計算ができます。
この方程式は波動を表し、音波やシュレディンガー方程式でも同様の形の式が現れます。

波の形に落とし込む

簡単な解として平面波の形で解を書き下します。 $$ \vec{E}(\vec{x},t)=\vec{e}^{(1)}E_k(t)e^{j\vec{k} \cdot \vec{x}} $$

ここで\(\vec{e}^{(1)}\)は波動の偏りを示す単位ベクトル、\(\vec{k}\)は端数ベクトルで\(k=2\pi/\lambda、\vec{x}\)は位置を表す。 これを波動方程式に代入すると $$ \{\vec{\nabla}^2-\frac{1}{c^2} \frac{\partial^2}{\partial t^2}\} \vec{E}=- e^{(1)}\bigl(k^2E_k(t)+\frac{1}{c^2}\ddot{E_k}(t)\bigr) e^{j\vec{k}\cdot\vec{x}}=0 $$
となります。
kに依存せずこの式が成り立つために\(\ddot{E_k}(t)=-c^2k^2E_k(t)\)が成り立つ必要があります。
\(c=f\lambda\)なので\(ck=2\pi f=\omega\)です。

以上から\(E_k(t)=E_ke^{-j\omega t}\)を解として選ぶことができます。
これを代入して\(\vec{E}(\vec{x},t)=\vec{e}^{(1)}E_ke^{j(\bf{k}\cdot\vec{x}-\omega t)}\)。
Eは物理量なので実部を取って\(\vec{E}(\vec{x},t)=E_k\cos(\vec{k}\cdot\vec{x}-\omega t)\)。
以上から電磁波が導かれます。

別解としてベクトルポテンシャルを使って導く方法もある。こっちの方が見通しよく計算ができます。

参考文献

電磁気学をちゃんと学びたい人向け 上の難易度が高い人

次回予告

電磁波の自由空間での伝搬について書こうと思います。

前回

次回

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