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無線従事者のための電磁気学-コンデンサ-

コンデンサについて高校物理で習って以来で覚えてないという人も多いのではないでしょうか。 無線回路を扱う上では切っても切れない部品なので無線従事者試験でもかなりの頻度で出題されます。 本記事ではコンデンサの基礎的な性質と平行平板コンデンサの応用としてのダイポールアンテナを定性的に説明したいと思います。
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コンデンサって何?

コンデンサは 「2つの導体を近づけて設置し、正負で当量の電荷を与えた時、すべての正電荷を与えた導体から出た電気力線がすべて負電荷を与えた導体で終わるような系」 を言います。

静電容量

導体に与えた電荷量\(Q\)[C]に対して導体間の電位差\(V\)[V]の時、\(Q=CV\)の関係があります。 \(C\)[F]を静電容量と呼びます。 単位はF(ファラド)です。 高校物理で\(C=\epsilon\frac{S}{d}\)と暗記した人も多いのではないかと思います。

計算方法

コンデンサの形状としては先程紹介した平行平板コンデンサや同軸、球形など色々考えられます。 基本的な考え方はどれも一緒です。
  1. 導体に与えられた電荷\(Q\)から作られる電界をガウスの法則で求める。
  2. 導体間の距離で電界を積分して導体間の電位差\(V\)を求める。
  3. \(C=Q/V\)を使って\(C\)を求める。
実際に\(C=\epsilon\frac{S}{d}\)を計算してみましょう

静電容量の計算

図の赤枠部(単位長さの立方体)を考えます。 この部分でガウスの法則を適用します。 コンデンサの内部の電界は極板に垂直な成分だけなので $$ E=\frac{Q}{\epsilon S} $$ です。 極板間の距離が\(d\)なので\(V=Ed\)となります。 以上から $$ C=Q/V=\epsilon \frac{S}{d} $$ となります。
無線従事者のための物理学-Coulombの法則とGaussの法則-
無線従事者試験の無線工学の勉強で困っていませんか?本記事では無線従事者試験で出てくる理論についてより詳細に解説します。勉強に行き詰っている方は是非ご覧ください。
上記では一般の誘電体\(\epsilon\)を使いました。 極板間に異なる誘電率の物質を挿入すると別々の誘電率のコンデンサを直列や並列の接続したとみなして計算することができます。

コンデンサの接続

直列に接続するときは極板間距離が2個分に伸びたと考えて計算できます。\(\frac{1}{C}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}\) 並列に接続するときは極板の面積が2個分に広がったと考えて計算できます。\(C=C_1+C_2\)

コンデンサからダイポールアンテナを考える

ダイポールアンテナは左右に線状のエレメントを取り付けた形状のアンテナです。 平行平板コンデンサを開くことを考えます。 コンデンサの極板が細い線状だとすればダイポールアンテナです。 コンデンサを開くと下図のような電気力線ができ、線状の極板であれば電気力線は極板の垂直方向に等方的になります。 このコンデンサに交流電流を流せばコンデンサの周りの電界が時間的に変化します。 ファラデーの法則で電界の周りに磁界が発生します。 この磁界も時間変化するのでアンペアの法則で電界が発生するというのが繰り返されて電磁波が発生することになります。 開いたコンデンサの延長方向には電気力線が存在しないのでダイポールアンテナの八の字指向性が実現されます。

まとめ

コンデンサについて説明しました。 また、コンデンサを開くことによってダイポールアンテナを作ることを紹介しました。

参考文献

電磁気学をちゃんと学びたい人向け 上の難易度が高い人

次回予告

次回はMaxwell方程式から電磁波を導出します。 前回
https://jr2kcb.com/archives/331
次回 近日中 本シリーズについて
無線従事者のための物理学-本シリーズの立ち位置と今後の方針-
書き始めの動機 今後不定期で無線従事者資格で扱われる技術的なトピックについての解説記事をシリーズ書いていこうと考えている。 私自身第一級陸上無線技術士を持っているが、この受験の時はかなり苦労した経験がある。合格するだけなら過去問を数年分解け...
勉強法
第一級陸上無線技術士の勉強法とおすすめ参考書
第一級陸上無線技術士を受けようと思ったけど何からどうやって勉強すればいいのか分からない。そんな人も多いのではないでしょうか? 第一級陸上無線技術士に限らず別の無線従事者や技術系の資格を取りたいと思う目的もいろいろだと思います。 無線工学や法...

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