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無線従事者のための物理学-Coulombの法則とGaussの法則-

第1回という事で今回はCoulombの法則からガウスの法則(積分形)を導出する。

Coulombの法則

Coulombの法則は大抵の参考書に一番最初に書いてあるような基礎となる法則である。

距離 R[m]離れた2つの電荷Q_1[C], Q_2[C]間に働く力F[N]はF=k\frac{Q_1Q_2}{R^2}とあらわされる。ここで今後の見通しをよくするためk=\frac{1}{4\pi \epsilon_0}とおく。\epsilon_0は真空の誘電率を表す。

4\piを出しておくことによってGaussの法則の導出がスムーズになる。

 Q_1Q_2\lt0で引力、Q_1Q_2\gt0で斥力を表す。

電界

ここで電界を定義する。電場という方が馴染み深い人も多いと思う(私もその一人)が、無線従事者試験では電界という言葉が使われるので電界に統一する。

昔の偉い人が”field”を”場”と訳したか”界”と訳したかの違いだけで同じものを理学の世界では電場と呼ぶことが多く、工学の世界では電界と呼ぶことが多い。混乱する人がいるかもしれないので一応触れておく。

位置\vec{x}にある電荷Qにかかる力が\vec{F}(\vec{x})であったときその位置での電界\vec{E}(\vec{x})\vec{E}(\vec{x})=\frac{\vec{F}(\vec{x})}{Q}と定義される

ここでは\vec{x}はただの座標だと思ってもらえればよい。

\( \vec{E} \)や\(\vec{F}\)は向きを持つベクトル量なのでベクトルで表現する。

本記事では明示的に矢印が付いていない時は向きを考えず大きさを表す。

電気力線と電束

電気力線と電束を導入する。電気力線は電界を直感的に見るために使用される。プラスの電荷から外に出るように矢印を書き、マイナスの電荷流入する。誘電率\epsilonの物質内でこの本数がN=\frac{Q}{\epsilon}であらわされる。見通しをよくするために電束を導入する。これはQ電荷からQ本出る。

電界の大きさは電気力線の密度で表現される。(線が混んでいるほど電場が大きい。)電束も同様で、電界に相当する電束密度\vec{D}が定義できる。真空中では\vec{D}=\epsilon_0 \vec{E}と書ける。

ここで真空中という表現を使ったのは電束密度と電界が比例関係にない物質も存在するからである。

Gaussの法則を考えるときにこの概念があると理解しやすくなる。

Gaussの法則(積分形)

道具立てはそろったのでGaussの法則を導出する。

Coulombの法則から位置\vec{x_Q}にある電荷Qが距離R離れた位置\vec{x}作り出す電場は\vec{E}(\vec{x})=\frac{1}{4\pi\epsilon_0}\frac{Q}{R^2}\frac{\vec{x}-\vec{x_Q}}{R}であらわすことができる。

両辺大きさだけを考えて

E(\vec{x})4\pi R^2=\frac{Q}{\epsilon_0}

4\pi R^2は半径Rの球の表面積なので(電界と電荷の周りを囲む球の表面積の積)=\frac{Q}{\epsilon_0}という格好になる。

電界は電気力線の密度を表すのだった。これは単位面積を垂直に電気力線の数と言い換えてもよい。このことからこの式はある閉曲面を貫く電気力線の数はその内部の電荷誘電率で割ったものが等しいと主張しているといえる。

これを任意の閉曲面Sに一般化すると\oint_S \vec{E}(\vec{x}) \cdot \vec{n}(\vec{x})dS=\frac{Q}{\epsilon_0}(Gaussの法則の積分形)となる。

\vec{n}は閉曲面の法線ベクトルである。

まとめ

今回は無線従事者試験の無線工学の問題で必ず扱われるCoulombの法則からGaussの法則の積分形と導いた。

間違い・コメント等あれば指摘していただければ幸いである。

1記事あたりの分量と内容の粒度については書きながら反応を見て変えていきたいと思う。

参考文献

今回の出題範囲


電磁気学をちゃんと学びたい人向け


上の難易度が高い人


次回予告

今回Gaussの法則の微分形まで網羅しようと思ったが今回はここまでとする。

次回はこの続きGaussの法則の微分形の導出を扱う予定である。

前回

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