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【過去問解説】令和4年7月の1陸技試験問題を解いてみた(R4.7 1回目 無線工学A A-1~A-5)

令和4年7月の1陸技の試験、無線工学AのA-1~5の問題について解説します。

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R.4.7 無線工学A(1回目) A-1

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学A A-1

OFDMの変調原理に関する問題です。

A

OFDMの送信側では各搬送波の振幅・位相の情報を逆離散フーリエ変換により時間軸の波形に変換し、それを送信周波数に周波数変換して送信します。

ここでは送信側の変調について述べられているので、Aには「逆離散フーリエ変換」が入ります。

B

Bには$\Sigma$の中の実部が入ります。
$e^{j2\pi nf_st}$をオイラーの公式で展開して計算すれば
\[
(a_n+jb_n)\{\cos (2\pi nf_st)+j\sin (2\pi nf_st)\} \\
=a_n\cos 2\pi nf_st-b_n\sin 2\pi nf_st+j\{a_n\sin (2\pi nf_st)+b_n\cos (2\pi nf_st)\}
\]
となります。

Bにはこの実部が入るので「$a_n\cos (2\pi nf_st)-b_n\sin (2\pi nf_st)$」が入ります。

C

搬送波も$e^{j2\pi f_ct}$の実部が入るのでCには「$\cos (2\pi nf_ct)$」が入ります。

以上から答えは2です。

R.4.7 無線工学A(1回目) A-2

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学A A-2

地上系デジタル放送の標準方式(ISDB-T)の離散コサイン変換(DCT)やデータ圧縮に関して誤った選択肢を選ぶ問題です。

誤った選択肢は5です。

この選択肢では隣接ブロック間のDCT係数の相関が高いためその差分を可変長符号化すると述べていますが、実際はフレーム間の差分が小さいことを利用してこれを可変長符号化しています。

以上から答えは5です。

R.4.7 無線工学A(1回目) A-3

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学A A-3

16QAM変調器の原理的な構成について誤っている選択肢を選ぶ問題です。

誤った選択肢は5です。

16QAMは1シンボル当たり4bitなので、16QAMのシンボルレートは元の信号Bのビットレートの1/4倍になります。

16QAMの16に引っ張られないようにしましょう

以上から答えは5です。

R.4.7 無線工学A(1回目) A-4

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学A A-4

電力増幅器の電力効率を求める問題です。

電力増幅器の総合効率$\eta_T$は
\[
\eta_T=\frac{P_O}{P_{DCe}+P_{DCf}}=\frac{P_O}{P_{i}/\eta_e+P_{O}/\eta_f}
\]
と表せます。

一方、終段部の電力利得が14dB=25倍なので、$P_O=25P_i$です。

この式を先ほどの$\eta_T$に代入すると
\[
\eta_T=\frac{25P_i}{P_{i}/\eta_e+25P_i/\eta_f}=\frac{25}{1/\eta_e+25/\eta_f}=0.582
\]
となるので、答えは58%です。

以上から答えは2です。

R.4.7 無線工学A(1回目) A-5

出典:公益財団法人 日本無線協会 第一級陸上無線技術士 R4年7月1回目 無線工学A A-5

QPSK同期検波回路の原理に関する問題です。

A

Xの乗算器には$\cos (\phi -\theta)$と$\sin (\phi -\theta)$が入力されます。

これらを乗算すると
\[
\sin (\phi -\theta)\cos (\phi -\theta)=\frac{1}{2}\sin 2(\phi -\theta)
\]
です。

係数は無視するのでAには「$\sin 2(\phi -\theta)$」が入ります。

B

乗算器Yには加算器と減算器の出力が入力されるのでYの出力は
\[
\{\cos (\phi -\theta)+\sin (\phi -\theta)\}\{\cos (\phi -\theta)-\sin (\phi -\theta)\}=\cos^2(\phi -\theta)-\sin^ (\phi -\theta) \\
=\frac{1}{2}\{1+\cos 2(\phi -\theta)\}-\frac{1}{2}\{1-\cos 2(\phi -\theta)\} \\
=\cos 2(\phi -\theta)
\]
です。

以上からBには「$\cos 2(\phi -\theta)$」が入ります。

C

Zの出力はAとBの答えの積なのでAの時の計算と同様に倍角の公式を使えば
\[
\sin 2(\phi -\theta)\cos 2(\phi -\theta)=\frac{1}{2}\sin 4(\phi -\theta)
\]
となります。

そのため、Cには「$\sin 4(\phi -\theta)$」が入ります。

D

$\phi =\pi /4, 3\pi /4, 5\pi /4,7\pi /4$の時、$4\phi =(2n-1)\pi$となります。ここで$n=1,2,3,4$です。
ここでZの出力を考えると
\[
\sin 4(\phi -\theta)=\sin (-4\theta + \pi)=-\sin(-4\theta)=\sin(4\theta)
\]
となります。

そのため、Dには「$\sin(4\theta)$」が入ります。

以上から答えは2です。

まとめ

少し間が空きましたが令和4年7月の1回目の無線工学A A-1~5の問題を解説しました。
システムの方式に関する問題は覚えてないと解けない問題もあるのでしっかり対策をしておきましょう。
三角関数の公式は覚えている必要はないですが、試験会場で求められるようにしておくのも重要です。

勉強法

第一級陸上無線技術士の勉強法とおすすめ参考書

参考文献

電磁気学をちゃんと学びたい人向け

上の難易度が高い人

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