令和6年1月の1陸技の無線工学AのA-1~5の問題について解説します。
R.6.1 無線工学A A-1
LTE-Advanced方式(FDD)無線アクセス方式に関する問題です。
この問題は同様の問題が令和4年1月2回目B-5で出題されています。
こちらの記事もご参照ください
A
Aの空欄は上記記事の空欄イに相当します。 上りリンクにはSC-FDMAが使用されるので、Aには「SC-FDMA」が入ります。
B,C
BとCの空欄はそれぞれ上記記事の空欄ウ、エに相当します。 SC-FDMA方式では時間軸の信号系列を一度周波数軸にマッピングし、その後再度時間軸の送信信号に戻して送信されます。 時間軸→周波数軸の変換がフーリエ変換、周波数軸→時間軸の変換が逆フーリエ変換です。 信号処理では離散フーリエ変換(DFT)と逆高速フーリエ変換が使用されるのでBには「離散フーリエ変換(DFT)」、Cには「逆高速フーリエ変換(IFFT)」が入ります。
D
Dの空欄は上記記事の空欄オに相当します。 各サブキャリアには時間領域のすべてのシンボルの情報が含まれます。 そのため、Dには「全て」が入ります。
以上から答えは3です。
R.6.1 無線工学A A-2
高度広帯域衛星デジタル放送方式(ISDB-S3)に関して誤った選択肢を選ぶ問題です。 過去問ではISDB-Tの問題がほとんどだったので新傾向と考えてよいと思います。
デジタル放送方式についての問題は情報の入手が難しく対策が難しい知識問題です。
この問題に関しては明らかな間違いがあるので時間がなければ飛ばして最後にゆっくり見てもいいのでじっくり問題文を読むのがよいでしょう。
誤った選択肢は1です。
1は例えば以降が誤りです。 変動の大きい領域はCUのサイズを小さくすることで細かい情報を表現する必要がありますが、平坦な絵柄や一様な動きの領域は細かく分割しなくても表現できるのでCUを大きくします。
そのため、答えは1です。
R.6.1 無線工学A A-3
QPSKとπ/4シフトQPSKの位相変化に関する問題です。
この問題は同様の問題が令和4年1月2回目A-4で出題されています。
下記の記事もご参照ください。
A
Aは上記の記事と同じです。
Aには「$\pi$」が入ります。
B
考え方は上記の記事と同じです。 値が違うので表にまとめておきます。
データ | 位相変化 | 位置 |
---|---|---|
初期値 | – | ① |
“0,0” | $+\pi/4$ | ② |
“1,0” | $+3\pi/4$ | ⑤ |
“0,1” | $-\pi/4$ | ④ |
“1,1” | $-3\pi/4$ | ① |
以上から答えは2です。
R.6.1 無線工学A A-4
BPSK、QPSKの雑音に関する理論の問題です。
この問題は同様の問題が令和4年1月1回目A-4で出題されています。 上記の問題ではQPSKに関して空欄になっていますが、この問題ではBPSKに関する内容が空欄になっているので気を付けてください。
下記の記事もご参照ください。
A
BPSKのベースバンドにおける信号電力は$A^2$です。 BPSKは直交成分を持ちません。
そのため、Aには「$A^2$」が入ります。
B
BPSKでは信号電力が搬送波電力の2倍なので、$SNR=2CNR$となります。
そのため、Bには「$SNR=2CNR$」が入ります。
C
QPSKは1シンボル当たりのビット数がBPSKの2倍なのでQPSKの方がBPSKより所要CNRが2倍(3dB)高くなります。
そのためCには「$-3$」が入ります。
以上から答えは2です。
R.6.1 無線工学A A-5
QPSK同期検波回路の原理に関する問題です
この問題は同様の問題が令和4年7月1回目A-5で出題されています。
下記の記事をご参照ください。
文中で乗算器XとYの順番が逆転しているため、空欄Aと空欄Bが逆転していることに注意してください。
内容的には全く同じです。
A:$\cos2(\phi-\theta)$
B:$\sin2(\phi-\theta)$
C:$\sin4(\phi-\theta)$
D:$\sin4\theta$
以上から答えは5です。
まとめ
今回は令和6年1月の無線工学Aの試験A-1~A-5の問題について解説しました。 無線工学Aではここ最近新傾向の問題が少し混ざっている印象です。 今回もISDB-S3に関する問題が出題されていました。 問題文をしっかり読んでみると意外と答えられることもあるので見たことないからと言って委縮しないようにしましょう。
参考文献
電磁気学をちゃんと学びたい人向け
上の難易度が高い人
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