令和6年7月の一陸技の試験の無線工学AのA-6~10の問題について解説します。
R.6.7 無線工学A A-6
この問題は類似問題が令和5年1月2回目A-5で出題されています。
下記の記事もご参照ください。
また位相の定義が違う問題として令和4年1月1回目A-5があります。
A
2つの同期検波器ではそれぞれ直交する復調用信号をQPSK波に乗算します。
ここではD1で$\cos \omega_ct$を乗算しているのでAには「$-\sin \omega_ct$」が入ります。
B
D1の乗算器の出力は \[ \cos\left\{\omega_ct +\theta (t)\right\}\cos \omega_ct \\ =\frac{1}{2}\cos\left\{ 2\omega_ct +\theta (t)\right\}+\frac{1}{2}\cos \theta (t) \] なので、LPFを通すと$R_I(t)$は下記のようになります。 \[ R_I(t)=\frac{1}{2}\cos \theta (t) \]
$R_I(t)$が正になるのは \[ \theta (t)=\frac{\pi}{4},\frac{7}{4}\pi \] の時です。
そのため、Bには「$\frac{\pi}{4},\frac{7}{4}\pi$」が入ります。
C
Bと同様に計算してD2の乗算器の出力は \[ -\cos\left\{\omega_ct +\theta (t)\right\}\sin \omega_ct \\ =-\frac{1}{2}\sin\left\{ 2\omega_ct +\theta (t)\right\}+\frac{1}{2}\sin \theta (t) \] なので、LPFを通すと$R_I(t)$は下記のようになります。 \[ R_Q(t)=\frac{1}{2}\sin \theta (t) \]
$R_Q(t)$が負になるのは \[ \theta (t)=\frac{5}{4}\pi ,\frac{7}{4}\pi \] の時です。
そのため、Cには「$\frac{5}{4}\pi ,\frac{7}{4}\pi$」が入ります。
以上から答えは3です。
R.6.7 無線工学A A-7
周波数変調波のS/N改善係数を計算する問題です。
この問題については同様の問題が令和5年1月1回目A-7で出題されています。
数字が違うだけなので下記の記事をご参照ください。
\[ f_d=mf_p=6\rm{[kHz]} \] なのでこの値を与えられた式に代入すると \[ I=10\log_{10}\left\{3f_d^2B/(2f_p^3)\right\} \\ =10\log_{10}20 \\ =13\rm{[dB]} \] となります。
以上から答えは2です。
R.6.7 無線工学A A-8
スーパーヘテロダイン受信機の相互変調と混変調に関する問題です。
この問題は同様の問題が令和4年7月2回目A-8で出題されています。 Aの空欄以外は全く同じです。
下記の記事もご参照ください。
A
問題文の$3f_1-2f_2$や$3f_2-2f_1$は5次の相互変調積の周波数成分です。
B,C
この2つの空欄は上記の記事と同じで
- B:変調
- C:$f_d \pm f_m$
です。
以上から答えは4です。
R.6.7 無線工学A A-9
PWM制御の昇降圧DC-DCコンバータに関する問題です。
この問題は類似問題が令和4年1月1回目A-10で出題されています。
また、回路構成が異なるDC-DCコンバータの問題も令和5年1月2回目A-9で出題されています。
A
FETがONの時はDはに電流は逆方向になるのでDは非導通(OFF)となります。
そのため、Aには「非導通(OFF)」が入ります。
B
逆にFETがOFFの時はDは導通(ON)になります。
そのため、Bには「導通(ON)」が入ります。
C,D
Lの両端の電圧を考えます。 コイルに流れる電流を$i_L$とすると \[ V_L=-L\frac{di_L}{dt} \\ di_L=-\frac{V_L}{L}dt \] となります。
FETがONの時はLの両端に$V_i$の電圧がかかるので \[ di_{LON}=-\frac{V_i}{L}T_{ON} \] となります。
一方FETがOFFの時は \[ di_{LOFF}=\frac{V_o}{L}T_{OFF} \] となります。 $V_o$の符号はFETがOFFの時は$V_o$はLに蓄えられたエネルギーで賄われるのでLと同じ方向になります。
回路が電流連続モードで理想的に動作するので \[ di_{LON}=di_{LOFF} \] となります。
そのため、 \[ V_o=-\frac{T_{ON}}{T_{OFF}}V_i \\ =-\frac{\frac{T_{ON}}{T_{ON}+T_{OFF}}}{1-\frac{T_{ON}}{T_{ON}+T_{OFF}}}V_i \\ =-\frac{D}{1-D}V_i \] で、Cには「$\frac{D}{1-D}$」が入ります。
また、$V_o$の符号は$V_i$の逆になっているので極性は②の方向でDには「②」が入ります。
以上から答えは4です。
R.6.7 無線工学A A-10
静止衛星の食に関する問題です。
この問題は全く同じ問題が令和5年1月2回目A-10で出題されています。
下記の記事をご参照ください。
また、一部空欄が異なる問題が令和3年7月2回目A-10で出題されています。
答えは
- A:春分及び秋分
- B:70分
- C:短く
で3です。
まとめ
今回は令和6年7月の無線工学Aの試験A-6~A-10の問題について解説しました。 見覚えがある問題も多かったですね。 過去問から微妙に変えて出題されることが多いので内容を理解しておけば問題ないでしょう。
参考文献
電磁気学をちゃんと学びたい人向け
上の難易度が高い人
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